引っ越しご挨拶

ジオシティから、ニフティに引っ越しをすることにしました。

ゲストブック掲示板荒らしなる体験を経て、インターネットの恐ろしさを垣間みた思いがします。

匿名性故に、まったく見ず知らずの人に、身近な人には言えない秘密を打ち明けることができる一方で、悪意に満ちた行動をとることもできる。

また、広く開かれているようでいて、実は井の中の蛙でしかないという盲点。

air pocketでの狂乱怒涛の最中、祖母が天寿を全うしました。

享年九十歳。

食事が喉を通らなくなって、だましだまし夕食にやっとゼリーを半分食べてもらうような生活を3週間つづけ、最期は口を開く元気もない有り様でしたが、文字どおり眠るような最期を迎えました。

わたしはご住職とお話をするのが好きで、親戚や、当のご住職から変人呼ばわりされながらも、ご住職とこの辞典のこと、またair pocketでのことをお話しました。

いみじくも、ご住職はKZY氏の主張と同様のことを述べられました。

すなわち、善とは見返りを期待しないもの、ということです。

現代に於いて、このような辞典を必要とすることは、そもそも不幸なことであることにわたしも同意します。

もっと簡単に、何か大きな善いものを打ち立てることができるのであれば、こんな辞典編纂作業など単なる徒労に過ぎないでしょう。

けれども、わたしは大きな善、もっともらしい皆が共有する巨大な美が恐ろしいのです。

「本を踏まない」というような小さな美なら、安心できるのです。

美(=善)のかけら集めを今後も続けます。

余談ですが、祖母の戒名をつけるにあたって、故人はどんな方だったのかとご住職に聞かれました。

家族がとにかく料理の得意な人だったとお話したので、「碗」の難しい字(ワープロで出力できない)を使われました。

祖母の名前が雪枝だったので、「雪碗」という文字が戒名の中に使われています。

あめゆじゅとてちてけんじゃ

『永訣の朝』が、祖母の戒名の中に隠れ住むことになりました。

大好きだったおばあちゃん。

わたしはまた地味な作業を再開します。

1998年7月5日

じぶんでじぶんをしつける辞典
試行錯誤実行委員長 
改め 試行錯誤編纂委員長
山口あずさ