ゆきこさんへ(1998.5.21)
ゆきこさん、今ちょうどお昼休みです。
きょうも出かけて遅くなりそうなので、会社であなたへの手紙を書くことにしました
うまくインターネット上にUPできるかどうかわかりませんが。。。
タナトスの話をしたので、やはりこれと対になるエロスの話もしなければなりませんね。
エロスという言葉は辞書に載っています。タナトスはなぜか広辞苑にも載っていません。なんででしょうね? わたしにとっては、非常に親しい言葉ですが、あまり一般的ではないのかもしれませんね。辞書にはエロスの対になる言葉はアガペー、アガペーはキリスト教的な神の愛と書いてありますが、わたしにとっては、エロスとタナトスを比べたほうがどうもしっくり感じられるので、タナトスの対としてのエロスについて語ります。
なんか、格調高いでしょ。
タナトスと戯れる少女は18歳である男性と出会います。
それまでも、かっこいい男の子を好きだと思ったことはありましたが、どうもこの18歳、大学一年生だったわたしの身に降りかかった出会いに比べると、あまりにも当たり障りのないかわいらしい恋でしかありませんでした。
ゆきこさんの彼はどんな人ですか?
ゆきこさんは、彼がほんとうに好きなのかな?
とりあえず彼がいるという飾りなんじゃない? なんて言うと失礼かもしれませんが。
18歳の春に(まさに春ですね)恋に陥ったわたしの目にはありとあらゆるものが輝いて見えました。
あれほど親しんでいたタナトスが一挙に空中分解というより、わたしは「死にたい」なんてことを考える暇がないくらいに恋人のことばかり考え、だれかれとなくつかまえてはその話をし、ありとあらゆる芸術は彼に対する賞賛、そしてわたしが抱いている感情への賛歌となったのです。
わかりますか?
突然どん底のように暗い話から、痴呆のように明るい話になって面食らったかもしれません。
恋をしてわたしはいろいろなものを感じるようになりました。
人、物、すべて風景でしかなく、友人に「生きていたくない」と語り、高校の卒業の写真集には友人が「死にたいなんて言わないでください」と思わず書いてしまったようなわたしが、なにもかも美しいと言う。
ゆきこさん、わたしがあなただけでなく、援助交際という現象を悲しく思うのは、この恋に傷が付くからなのです。
もちろん、18歳の恋がその後どのような面倒な展開を迎えるかとうのは、また別の話です。この恋はまさに成就したといも言えるし、破綻したとも言えるし、未だに途上であるとも言えます。
(なぞのような話でごめん。この手紙は公開してしまっているので、そこらへんはオブラートに包まざるを得ないのです。もっとこの部分を詳しく聞きたいということがもしあったら、直接 azusayamaguchi@geocities.co.jp 宛にメールをください。
今現在わたしが独身なのは彼のせいかと問われればそれは80パーセントYESです。
まぁ、とにかくそのような出会いであったと解釈してください。
ゆきこさんはいまいくつなのでしょう?
これから受験があったりして、いろいろと不愉快なことがいっぱいあるのかもしれませんね。
わたし自信、18歳の一瞬が永遠につづくわけではなく、より一層悲しい目に出会って行くのですが、ただ今振り返って、この一瞬は神さまがくれた贈り物のように思えるのです。
ゆきこさんは、まだ贈り物をちゃんと貰っていないのではないですか?
ばかみたいに幸せ!という体験をしたことがないのではないですか?
ゆきこさん、大人になるといいことばかりではないのですが、実はあなたの気づいていないいいこともあるのです。
より素敵な人に出会うには、あなたがより素敵な人でないとならないんですよ。
それではまた明日。
明日の夜、手紙を書きます。
山口あずさ