ゆきこさんへ(1998.5.18)
きょうはわたしは残業でした。
ゆきこさんにどういうふうにお話しすればいいかと仕事中もずっと考えていました。
タナトスなんていう難しい言葉を昨日書きましたが、わたしがどんな少女だったかをお話しすれば、それはイコール、タナトスの話になると思います。
わたしにとって、死、自分の死というのは遊び道具のひとつのようなものでした。
いつからか明確にはわからない頃から死に対する憧れのようなものが自分の中にありました。鮮明に思い出せる最初のシーンは、小学校四年生か、五年生の頃に自分の手首に剃刀をあててしばらくじっとしていたというようなことです。実際に切りはしませんでした。今地震が起こったら死ぬのかしら、と思ってじっとしていたのを覚えています。
わたしが手首にあてていたのは、お母さんの鏡台から取り出した顔剃り用の剃刀です。
今考えたら、あんなもので死ねるわけはないし、たとえ大地震が起こったとしても剃刀など放り出してちゃんと逃げたのではないかと思いますが、本当に死ぬか死なないかは別として、小学生の遊びとしては、我ながらいささか異常だったと思います。
自分が死ぬことを考えると涙が出ました。
悲劇のヒロインになりきった、実にナルシスティックな涙でした。
その後も少女マンガで美少年の主人公が16歳の誕生日に自殺するなんてゆうストーリーを読んでは感動し、じぶんもぜひ16歳になったら自殺しようなどと馬鹿なことを考えました。
ここまで自分で書いて、わたしってなんてへんな子供だったのかと思わないではありませんが、とにかくそういう子供だったのです。
いくつの時か忘れましたが、16歳で死ぬのだなどと口走って、その時は唖然としていた母親に、後でこっぴどく叱られたりしました。今考えると怒られるのは当たり前ですが、そのときは母の怒りの意味がよくわかりませんでした。
いじめを受けていたとかそういうことではありません。ただ純粋にわたしは死に憧れていたのです。
もしかしたら、ゆきこさんも呆れるような子どもだったかもしれませんね。
もっともわたしにも多少まともなところがあって、自分の死はなにか美しいもののように感じるのに、母や祖父母の死などは想像するのも嫌で、わたしは祖父が大好きでしたから、「おじいちゃんが長生きしますように」と毎日神様にお祈りしたりしていました。
自分がさっさと死んでしまいたかったのに!です。
とにかくわたしは10歳になる頃にはすでに自殺を夢見る質の悪い子供だったわけです。
「ぼくは12歳」という詩集があります。
12歳で自殺した男の子の詩集です。詩集は、彼の死後一年ぐらい経って、出版されました。
当時かなり話題になって、わたしも買って持っていました。
つい最近、ゴールデンウィークの最中でしたが、教育テレビでこの少年のお父さんが12歳の子供たちに話をするという番組がありました。
23年前に亡くなった息子のことを、お父さんは今でも思い続け、あのときああ言えばよかった、こう言えばよかったと自分を責めていらっしゃいました。
お父さんはきっと何も悪くなかっただろうと思います。
自殺した男の子はちょうどわたしと同い年。
わたしは自分がたまたま死ななかっただけなのだと、改めて思いました。
もし死んでいたら、わたしの母は今頃どれほど不幸だったかしれません。
ゆきこさん、ところで、金がないと死にたくなる、とゆきこさんが思うようになったのは、援助交際を始めた後なのではないですか?
援助交際をどんなきっかけかわかりませんが、はじめてしまって、お金が自由になるようになったら、お金を節約することを忘れてしまったのではないですか?
金がないと死にたいというのはこじつけだと思います。
10歳ですでに死にたいと思ったこのわたしの言葉です。
かなり説得力があるでしょ?
すべての人が、ではないかもしれません。もちろん、誰が何と言おうが生きていたい。脳死になったってわたしは生きていたいんだ!という生命力溢れる発言をした友人もかつていましたが、わたしほど極端ではないにしても、死にたいという感覚は誰にでも備わっているのではないでしょうか。
この誰にでも備わっている感覚を楯にとって、「金がないと死んでしまいたい」などというのは実におかしなことです。せっかくこのホームページに来てくれたのです。
「じぶんでじぶんをしつける」をしてみませんか?
もちろん、じぶんでじぶんをしつけるをあなただけに言ったりはしません。
わたしはなんとかしてオヤジどもに、援助買春夫どもに、きっちりと自分の姿を鏡に映して見せてあげたいと思っています。
たとえば朝日新聞の一面を借り切って、援助買春夫の会社名とその本名を全面にびっちりと書いて公表すれば、その日から援助交際はなくなるでしょう。
匿名性の元に犯罪を犯す人間をわたしは許せません。
自分の夫が援助交際をしているのを見て見ぬふりをしている妻もいるかもしれません。
わたしは、この大人も許せません。
ゆきこさん、わたしはあなたを彼らから取り返します。
あしたは、わけのわからない涙について書こうと思っています。
あ、それから20日は、午前5時からジオシティーズがサービス停止だそうです。
↓ジオシティーズからのお知らせ。
これでつながりやすくなるといいんだけどね。
それじゃ、お休みなさい。
ゆきこさんのこと、いつも思っていますよ。
山口あずさ