- Subject: 援助交際
- Date: Sun, 12 Apr 98 23:51:09 +0900
(注:●色の文字はこのHPからの引用)
- 別のHPにて、援助交際をはじめとする現代の生徒の性意識について意見を述べたら、こっぴどく叱られましたので、改めて山口さんのHPで勉強させて頂きます。
買春夫(かいしゅんふ)を見つけたとき
援助交際婦ではないあなたやわたしが街で友人と待ち合わせなどをしているときに、買春夫が(無礼なことに)あなたやわたしを売春婦もしくは援助交際婦と勘違いして、「ホテルに行きませんか」などと話しかけてくることがある。こういうときは、「あ、買春夫だ」と言ってあざ笑うなどして露骨に軽蔑するようにしたい。ところで、ある一人の男がとってももてなかったとして、一生に一度も(あるいはほとんど)セックスできないとしたら、それはどれくらい深刻なことなのだろうか。買春夫に身を落とすよりはセックスなどしない方がよいようにわたしは思うのだが。(文責:山口)
- 手塚さんの御意見を受けて、訂正されたのだと思います。
- ところで、もてない男の話ですが、男の僕でもその心情が量りかねますので、女性の山口さんが言ったら、よけいに傷つくのではないでしょうか?
- それに、やっぱり男はセックスしたいのですよ。本能だから、と逃げたくはありませんが。
- だから、セックスしたいからこそ、買春夫に身を落とすのではないでしょうか?
- …う〜ん、これだから叱られるんだろうな…
- 援助交際はなぜいけないか
- 山口あずさ
- やっぱり、ここから始めないとね。
- 「いけないに決まっているじゃないか。いったい今の若い者は何を考えているんだ」と、嘆息するのは簡単である。そんな言葉が当の彼らに届くのであれば、そもそもこんな馬鹿げた「言葉」の流行などないだろう。
- でも、こうした嘆息を吐く人に、僕はこっぴどく叱られたんですよ。山口さん、言ってやって下さい。
- 「援助交際は売春である。だから、『援助交際』などという罪悪感の薄らぐような言葉遣いは止めて、『売春』は『売春』と言うようにしよう」、先の頭ごなしの発言よりは少しはましかもしれない。
- 確かに、「援助交際」という言葉は、「売春」からくる罪悪感を和らげる目的があるのかも知れない。
- ところで、じゃあ、なぜ売春が悪いのだろう?
- 頭を白紙の状態として、社会を0から構築したとき、労働の対価にお金を得るのと同じで、労働よりも直接的に自分に帰属する体を売って対価を得ると言う選択肢も存在してもいいんじゃないだろうか? もちろん、売春に限らず。
- その体を売る一つに、売春がある。
- 本来、一夫一婦制で、女性が妻となり、一人の夫に尽くすようにしたのは、人としての社会を大きくするための、いわゆる社会動物としての判断であって、この判断を元に他の男性に体を預けてはいけないという倫理観ができたんじゃないだろうか。
- しかし、今や人口は増え過ぎて、旧来の社会を構成してきた倫理観とは、別に倫理観が求められているのかも知れない。そう言う風に、「売春」をしている女の子が言う場合に、どのような倫理観をもって、彼女達に説明するのでしょうか?
- また、動物では種を残すために、一夫多妻が普通だと聞きます。「売春」をしている女の子達が、そうした自然動物からくる倫理観(言葉が適切でなくて済みません)から、素直に行動しているとしたら、理屈をつける僕らの方がおかしいのかも知れない。
- 買う大人が悪いとうい意見ももちろんある。これは至極まっとう。糾弾されてあたりまえだし、そういう人間に社会的地位と称されるようなものがあれば、どんどん剥奪すればいい。そんなものに同情する必要はかけらもない。その家族が恥をかくのもやむを得ない。自分の家族であろうが、恋人であろうが、そのような人間がいれば、その罪は償っていただく。でなければ、子供にもの申す資格などない。
- やっぱり、山口さんのような女性を相手にするには、命がけですねえ。
- NHK教育TVでの十代の若者の発言。「やりたいやつは勝手にすればいい。自分はしないがしている人に対して何らかの意見を言うつもりはない」、もしくは、「過去に援助交際していた人は皆後悔しているし、その彼氏もひどく悩んでいる。しかし、後悔は後になってからでなくてはできないのだから、しょうがない」
- 今の政治、日本の姿を弱い立場で見ている子供達には、こうとでも言わなくちゃやりきれない状況があるのではないだろうか?
- これは、素直に反省したい。
- わたしが高校生の頃(ほぼ20年前!)、やはり女子高生の売春というのが話題になっていた。たまたま見ていたワイドショーで、インタビューを受けていた少女が言った。「お金くれるっていえば、みんないっちゃうよねー。クラスの半分くらいはいくと思うよ」。当時少女と同世代であったわたしは面食らった。クラスの半分が「いっちゃう」つまり「売春をする」という証言と、さえない制服を着て毎日学校に通っている自分やクラスメートがあまりにもかけ離れていたからだ。
- どこから、「売春」してもいいという女性と、「売春」なんてもってのほかという女性とが別れるのでしょう。男の僕からは想像がつかない。でも、明らかに対立する意識が、同世代に生まれている。これは、男でも同じだけれど。
- 恐らく、今も、二十年前も、大差はないのだろう。大半の女子高生にとっては、「援助交際」など無縁のことなのだろう。もっとも、当時売春がいけないと思うかと聞かれれば、当時の大半の少女は「いけないと思う」と答えただろう。理由はうまく説明できなかったかもしれないが。
- 所詮、いけないと思う正しい心は、少女達の現実の行動までを縛れない、と言うことですか?
- 二十年経って、かつて他ならぬ女子高校生だったことのあるわたしは、売春がなぜいけないか、答えられるようになっただろうか。前置きばかり長くなっていまったけれど、答えてみたいと思う。
- ここですね。
- われわれのさまざまな肉体の器官の中で、最も精神に近いものが「生殖器」である。目でもない。耳でもない。口でも鼻でも、指先でもなく、最も精神と密接している。
- 申し訳ない、男の僕では変な想像をしてしまう…
- 人が誰かを好きになるとうのは、いったいどういうことなのか。他の誰でもなく、取り替えの効かない誰か。胸が痛くなったり、ドキドキしたり。キスをしたいと思ったり。「性」は決して罪悪などではない。われわれに最大の幸福をもたらしてくれるものの一つである。それを自ら踏みにじるような行いが、性欲に理性を失ったどこぞのおじさんに、ブランド物の服や化粧品と引き替えに、「お金」と引き替えに、自らの最大の幸福をくれてやるということがどれほど馬鹿げたことか、考えて欲しい。
- どうしても、このあたりに思考の飛躍があるように思えてならない。
- 守りたい倫理観を他人に踏み付けられたことに対する怒りが、主観的に表されているようで、少女達を納得させられるかどうか、よく分からない。
- どうして、本能の一つである性欲に理性を結び付けるのか?
- それは、人が社会を築いて生活しているためなのか? 人はあくまで人で、獣じゃない、ということかしらん。
- それでも、他人に迷惑を掛けているわけではない、放っておいてとあなたは言うかもしれない。それでは、もうひとつ考えて欲しい。
- 包囲網ですね。
- あなたには、大切な人がいるだろうか。お母さんでも、お父さんでも、兄弟姉妹でも、友だちでも、もちろん恋人でもいい。片思いの誰かだっていい。誰もいないというなら、そいういう人がいたらいいな、とは思わないだろうか。そしてあなたの大切な誰かがあなたのことを同じように大切に思っているとしたら、それはとっても素敵なことだと思わないだろうか。あなたが「援助交際」という「売春行為」をすれば、あなたのことを大切に思っている誰かを傷つけることになるのだ。そして、この誰かには将来出会うことになる誰かも含まれている。人間はひとりぼっちで生きているのではない。自分のことを大切に思っている人を傷つけるような行いをすることを自由と呼ぶことはできない。従って疑いなく援助交際はいけないことである。
- 何度同じ苦しみを負っても、苦しいことは苦しいし、何度同じ悲しみにあっても悲しいですね。
- だから、たとえ既に傷つけてしまったからと言って、新たに傷つける行為をしてはいけない。一度過ちを犯したからと言って、悲観して「売春」を肯定するようなことをすれば、そこから新たな傷を生んでしまう…
- とは思うのですが、世の中には、思い込みが激しく、また悪い意味で融通の効かない変に正直すぎる少女もいます。その少女が、一度の過ちでもう昔には戻れないと自暴自棄になって「売春」を始めたら、又は続けたら、そのときはどうやって説くのでしょうか? 彼女は、たった一度の過ち(別に売春とは限らない)によって、もはや傷つけてしまったのだから、何をしても同じだと頑に信じてしまったら…
- 東京の両国という場所に「江戸東京博物館」という展示施設がある。十代のあなたはあまり興味がないかもしれないが、そこに吉原という遊郭に関する展示があった。貧しい農村などから売られてきた娘達が遊女となって合法的に売春をしていた場所である。この展示場のパネルにさらりと書かれた一行にわたしは思わず立ち止まった。
- 「遊女の平均寿命は二十一歳であった」
- 平均年齢の読み間違えかと思って、もう一度読み直した。「平均寿命」と書かれていた。
- 日本の歴史の中で、売春禁止法というのができたのは、つい最近のことである。この法律を作らなければならないと思って努力した人たちのことを思い浮かべて欲しい。
- 吉原という場所で遊女として二十一歳でその生涯を終えるような人々のことを、他人のことだからと言って放っておくことはできなかったのだ。同じように、「援助交際」がいけないことだとわからないあなたを、われわれ大人は放っておくことはできない。何度でも重ねて言う。「援助交際」はいけないことである。あなたの幸福が奪われてゆくのを少なくともわたしは黙って見ているわけにはいかないのだ。
- 「あなたの幸福が奪われてゆくのを少なくともわたしは黙って見ているわけにはいかないのだ。」
- と断じられれば、ことの是非を問わず、言い返せませんね。
- 僕は、「援助交際」の間違いを紐解くより、この一言をもって少女達が「売春」をやめてくれることを望みます。これだけ思ってくれている人がいることに、それに応えようとする気持ちが沸き立つことを望みます。
- 少女達が、自ら「売春」から手を断ち、山口さんが安堵する社会が、もっともまともだと思うんですが。
- う〜ん、よくわからない。
- だって、少女達の言い分がないんですもの。
- 少女達は、どういった目線で社会、そして山口さんを見、どのように考えているのかがわからないと、結論は出せそうにもありません。
- 難しい問題です。
- 本日は、どうもありがとうございました。
- 山口 あずさ 様
- 守口 守